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プラネタリーヘルスに関する最新の動向をお伝えします

プラネタリーバウンダリー、最新版が公表

2025.10.10

2025年9月24日、地球環境が安全域を超えているかを複数の指標で測定するプラネタリーバウンダリー(Planetary Boundaries)の最新版が公表されました。今回の改定では9つの地球システム領域のうち7領域がすでに安全域を超えていると評価され、2023年版の6領域からさらに状況が悪化したことが明らかになりました。

新たに安全域を超えているとされたのは、海洋酸性化の項目です。酸性度が増すことで、珊瑚や貝類などの成育に悪影響を及ぼしたり、海洋からの二酸化炭素の吸収効率が低下して温暖化を促進させることが指摘されています。

残りの2項目は、成層圏のオゾン濃度と大気中のエアロゾルですが、前者はモントリオール議定書などによる世界的なフロンガスの排出削減などを踏まえて安全域を維持しており、後者も多くの地域で減少傾向にあるとの報告が散見されます。しかし、依然として大半の領域でリスクが拡大しており、地球環境全体の持続性が危機に直面している状況に変わりはありません。

プラネタリーヘルスの領域でも、生物多様性の喪失が食料の安定供給を脅かしたり、気候変動が様々な健康リスクを高める可能性などが指摘されています。そのため、今回公表されたプラネタリーバウンダリーの最新版は、こうしたプラネタリーヘルスのメカニズムを再認識する大きな意義を有しています。