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プラネタリーヘルスに関する最新の動向をお伝えします

持続可能な医療制度に向け、西太平洋諸国が初のフォーラムを開催

2025.10.06

2025年9月16、17日にシンガポールで開催された「気候変動に強靭で持続可能な保健システムに関する第1回西太平洋行動フォーラム」において、医療部門の脱炭素化に向けた新たな取り組みが発表されました。同フォーラムは、世界保健機関(WHO)西太平洋地域事務局と国立シンガポール大学の持続可能医療センターが共同主催し、日本をはじめとするアジア太平洋地域20カ国以上の代表者が参加しました。

同フォーラムでは、医療部門が世界の温室効果ガス(GHG)排出量の約5%を占めることから各国が、低炭素で気候変動に適用的、かつ持続可能な地域医療システムへ移行するためのロードマップの策定を目指されました。WHO西太平洋地域事務局長のサイア・マウ・ピウカラ博士は開会の辞の一部で「気候変動対策と健康対策は一体である」と述べており、両者の統合させた各国の取組みの重要性を強調しました。

同フォーラムでは、開催国であるシンガポールが東南アジアで初めてとなる医療部門からのGHG排出量に関する国家調査の結果を公表するとともに、気候変動への対応は国民の健康と医療体制の強靭性を高めるものであるとして、各国に持続可能な未来を共に構築していくよう呼びかけました。

ヘルスケアセクターがGHG排出量のうち大きな割合を占め、かつ気候変動が健康に与える影響が深刻化している中、人間の健康と地球の健康との相互関連性を重視するプラネタリーヘルスの概念は重要性を増しています。西太平洋諸国の代表が一堂に会した今回のフォーラムは、ATACHなど国際的な取り組みの進展とも呼応し、持続可能で気候変動に強靭な保健システム構築に向けた同地域での関心の高まりを示しており、プラネタリーヘルスの観点からも注目すべき動きといえます。