Global Carbon Budget 2025が公表
2025年11月13日、Global Carbon Budget 2025が公表されました。この報告書は、18カ国・70の研究機関に所属する130人以上の研究者が参加する Global Carbon Project による年次報告で、化石燃料・土地利用の変化による二酸化炭素(CO₂)排出量や、陸域・海洋による吸収量の動向などを取り扱っています。
今年度版では、化石燃料に由来するCO₂排出量が前年度比で約1.1%増加し、世界全体で約381億トンに達する見込みであるとされています。 また、2025年における大気中のCO₂濃度は約425.7 ppm(前年度から2.3ppm上昇)と、産業革命前レベル(約278ppm)を52%上回る水準に達したとされています。
CO₂排出量の伸びは、過去10年間で平均年0.3%増と前の10年間(平均年1.9%増)から鈍化したとされています。その理由として、南米を中心とした森林伐採・劣化火災の抑制によって土地利用変化由来のCO₂排出量が減少したことによるものとされています。
陸域・海洋によるCO₂の自然吸収量については、2024年のエルニーニョ現象によって落ち込んでいた陸域のCO₂吸収力が、事前の水準まで回復することが見込まれています。もっとも、1.5 ℃上昇を50%の確率で抑えるために排出可能なCO₂の量(remaining carbon budget)は約1700億トンであり、現在の排出ペースでは2030年までに枯渇するとされています。こうした状況を踏まえ、報告書は、地球の気温上昇を1.5℃未満に抑えることは事実上不可能であると述べています。
CO₂排出量や大気中濃度は気候変動、生態系変化、フードシステム弱体化など様々な経路を通じて人間の健康に影響を及ぼしうることから、プラネタリーヘルスの観点からも、本報告書は重要な資料であるといえます。