COP30閉幕:気候変動と健康に関する議論が前進
2025年11月21日、ブラジル・ベレンで開催されていた国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)が閉幕しました。今回のCOP30では、気候変動と健康をめぐる議論が大きく前進し、気候危機を人間の健康や医療システムの問題として捉える動きが強まりました。こうした流れは、プラネタリーヘルスを国際政策の場に本格的に位置づけるものといえます。
COP30のGlobal Climate Action Agendaでは、「強靭な保健医療システムの推進( Promoting resilient health systems)」が、人間・社会開発軸における30の中核目標の一つとして明確に盛り込まれました。また、Belém Health Action Plan(BHAP)が発表され、多くの国が賛同を表明しました。11月13日のHealth Dayでは、各国の閣僚やハイレベル代表が、公衆衛生の保護を気候交渉の中心課題と位置づける必要性を改めて確認しました。あわせて、35超の慈善団体から成るClimate and Health Funders Coalitionは、気候と健康を統合した取り組みを推進するため、総額3億米ドルの資金拠出を表明しました。この資金はBHAPの実装支援を含め、適応政策の中で医療・保健分野を具体的に前進させるために活用される予定です。
これらの成果は、気候変動を単なる環境問題としてではなく、人間の健康と社会の持続可能性に直結する課題として再定義する重要な一歩と評価できます。一方で、化石燃料依存からの構造転換といった根源的課題については十分な合意に至らなかったとの指摘もあり、健康を軸とした気候対策を実効性あるものとするためには、今後の政治的意思と具体的実装が引き続き問われることになります。