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プラネタリーヘルスに関する最新の動向をお伝えします

2024年の熱中症死者が2000人を超え、過去最多の見通し

2025.05.30

2025年の夏季シーズンを迎えるにあたり、昨夏の酷暑や熱中症死者数・搬送者数などの状況を今一度振り返っておきましょう。厚生労働省の公表した人口動態統計によれば、2024年6〜9月の熱中症死者(概数)は2,033人に上り、これまで最多だった2010年の1,684人(年間1731人)を大きく上回りました。

この背景には、2024年夏の酷暑が影響していると思われます。気象庁によると、2024年6月から8月の平均気温は統計開始以来最も高く、153ある気象台のうち過半数の80地点で「夏として歴代1位」の高温を記録したとされています。全国での猛暑日地点数の累積は10,273地点に達し、2010年以降最多となりました。消防庁によれば、2024年5~9月の救急搬送者数は合計97,578人にのぼり、統計開始以降最多を記録しました。

こうした状況は、プラネタリーヘルスの視点からも憂慮すべきものといえます。暑熱や気候変動によって人が直面する健康リスクは熱中症だけにとどまりません。健康リスクをより詳細に把握して、暑さに備える対応(いわゆる、適応策)を講じるとともに、温室効果ガスの削減を通じて、長期的に気候変動を緩和するための対応(いわゆる、緩和策)を取ることがますます重要になっているといえます。2025年6月1日より、改正労働安全衛生規則による熱中症対策義務が罰則付きで施行されます。同法への対応も含め、2025年の夏季シーズンは気候変動と健康を含めたプラネタリーヘルスを考えるにあたり重要な時期となりそうです。