WHO事務局長が国際司法裁判所において気候変動危機を訴える
2024.12.26
2024年12月13日、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェスス事務局長は、国際司法裁判所(ICJ)において、気候変動が健康に与える影響についてコメントしました。2021年、バヌアツ共和国がICJに対し、排出量の削減と気候変動による被害の補償という新たな法的義務を確立する旨の勧告的意見(advisory opinion)を各国に発出するよう求めて提訴しましたが、同案件の審理において、テドロス氏が証言を行いました。
同氏は、気候変動を「今日の人類が直面する最も重大な健康上の課題のひとつ(the most significant health challenges facing humanity today)」と位置づけ、すでに人間の健康、社会、経済に壊滅的な打撃を与え、世界中の医療制度を圧迫していると述べました。また、がんや心血管疾患などの非感染性疾患が気候変動や大気汚染と関連していることも強調しました。
この案件に対する裁判所の意見は2025年内に公表される予定です。気候変動対策における各国の道義的・法的責任が健康への影響の観点から明確化される可能性があることから、プラネタリーヘルスの観点からも注目される事案といえます。