厚生労働省公表の国際保健ビジョン内でプラネタリーヘルスに言及
厚生労働省は2024年8月26日、「厚生労働省国際保健ビジョン」を公表しました。このビジョンは、国際保健分野における日本の取り組みを強化し、国内外の健康課題に対応することを目的としています。
参照リンク:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_42939.html
ビジョンの主要施策として、2025年に日本に「UHCナレッジハブ」を設置し、低中所得国のユニバーサル・ヘルス・カバレッジ達成を支援することが挙げられています。また、スタートアップ企業支援を通じた創薬基盤の強化や、国内外の感染症対策機関の連携促進も計画されています。
インド太平洋地域では、医療開発、高齢者保健、人材育成の推進に注力し、同時に医薬品の安定供給確保のための経済安全保障戦略も実施する予定です。厚生労働省内では、国際部門の強化と国際保健人材の育成にも力を入れ、省全体の国際対応能力の向上を図るものとされています。
このビジョン内で、プラネタリーヘルスへの言及が見られました。具体的には、「3 政策目標・基本方針」の「(2)基本方針」において、「厚生労働省が取り組む国際保健分野の基本方針」として、「人間の安全保障、人類と地球の共存(プラネタリーヘルス)を含む、世界での安全、繁栄、価値の確保を念頭」に置くことが明記されました(同ビジョン9p)。
このビジョンでは、感染症対応や医薬品開発、医療人材育成などを含めた包括的な取り組みを規定していますが、その基本方針の一部にプラネタリーヘルスが明記されたことにより、関連する国際保健の諸政策においてプラネタリーヘルスを念頭に置いた取組みが進められる可能性があることを示唆しています。
なお、これまでも環境省の「生物多様性国家戦略」「環境基本計画」「第5次循環型社会形成計画」や、内閣府の「改訂版SDG指針」など、数々の政府資料においてプラネタリーヘルスが言及されてきました。今回、厚労省からもプラネタリーヘルスに言及した資料が出てきたことで、政府内におけるプラネタリーヘルスへの関心の高まり・広がりが感じられます。