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プラネタリーヘルスに関する最新の動向をお伝えします

SDGsの進捗、「順調」は18%にとどまる―国連報告

2025.07.20

国際連合(国連)は2025年7月14日、2030年までの持続可能な開発目標(SDGs)の進捗状況をまとめた報告書を発表しました。この中で、目標達成に向けて順調に推移しているのは全体の18%に止まり、17%が停滞、18%が後退していることが明らかになりました。

グテーレス国連事務総長は報告書の公表に関する記者会見で、これまで達成された成果を示しつつも、極度の貧困状態にある人が世界で8億人を超え、気候変動の影響も深刻化しているといった厳しい現実にも言及し、強い危機感を示しました。そのうえで、国際社会に対し協調しつつ迅速に取り組みを前進させる必要があると訴えました。

この報告書は、人間の健康と地球の健康が密接に関連するプラネタリーヘルスの観点からも重要な意味を持っています。現在のSDGsでは気候変動、貧困、飢餓、健康などがそれぞれ独立した達成目標とされていますが、実際にはこれらは相互に影響し合い、気候変動などの環境問題は、食料安全保障や感染症拡大など人類の健康に直結する問題となっています。SDGs達成の遅れを受けて、プラネタリーヘルスの観点から各項目が相互に影響し合っていることを十分に認識し、残り5年での目標達成に向けたアジェンダの再設定や、場合によってはフレームワーク自体の見直しが必要になる可能性もあるといえるでしょう。