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気象庁・文科省が「日本の気候変動2025」を公表

2025.04.10

気象庁と文部科学省は2025年3月28日、最新の科学的知見に基づき、日本の気候変動の現状と将来予測を包括的にまとめた報告書「日本の気候変動2025」を公表しました。気温、降水、海水温、海面水位などの主要な気候要素ごとに、これまでの観測結果と将来の予測が整理されています。本編や概要版に加えて、詳細版、解説動画や啓発リーフレットなどの様々なコンテンツが提供されています。

本報告書では、1898年から2024年までの日本の年平均気温の上昇率が100年あたり1.40°Cであり、年平均気温は気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第6次評価報告書の2℃上昇シナリオ(SSP1-2.6)で約1.4℃、4度上昇シナリオ(SSP5-8.5)で約4.5℃上昇するとされています。真夏日や猛暑日、熱帯夜が増加する一方で、冬日の減少傾向も顕著であり、将来において極端な高温の頻度と強度がさらに増す可能性が高いと指摘しています。特に4℃上昇シナリオでは、猛暑日が約17.5日、熱帯夜が約38日増加する一方、冬日の年間日数は約46.2日減少するとの予測が示されています。

降水については、気温上昇に伴う水蒸気量の増加により、短時間の集中豪雨が頻発する傾向があり、今後も極端な大雨の発生頻度が増加すると予測されています。また、近年の大雨事例では、地球温暖化の影響によって大雨の発生確率が高くなり、強度が増したことが報告されています。海水温に関しては、本報告書では日本近海の海水温が世界平均の2倍以上のペースで上昇しており、海面水位や海氷、高潮、高波といった海洋環境にも顕著な変化が見られるとされています。その他、降雪、熱帯低気圧、海氷、海洋酸性化などの観測結果・将来予測が示されています。

気象庁は、本報告書が国や自治体、事業者による気候変動緩和・適応策の基盤情報として活用されることを期待しており、科学的知見に基づいた行動が今後の災害対策と社会変革に不可欠であると強調しています。プラネタリーヘルスの諸研究によれば、本報告書で示された気候要素が人の健康に与える様々な影響が示唆されており、日本のプラネタリーヘルスの普及促進や研究の進展において本報告書は重要な資料になると思われます。