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プラネタリーヘルスに関する最新の動向をお伝えします

2024年の世界の海面上昇、予想を大きく上回る

2025.04.01

2025年3月13日、アメリカ航空宇宙局(NASA)は2024年に観測された世界の海面水位に関するデータを公表しました。同データによれば、2024年の世界の海面水位は5.9ミリメートル上昇し、予想値の4.3ミリメートルを大きく上回る上昇幅となりました。1993年と比較すると、海面水位は10.1センチメートル上昇しており、10センチを超えました。

近年の海面水位は、上下を繰り返しながらも着実に上昇しており、上昇幅の年間平均は約3.6ミリメートル程度で推移していました。しかし、2024年の上昇量はこの平均を大きく上回っています。NASAによると、近年における海面水位の上昇の約3分の2は氷床・氷河の融解が、残りの3分の1は海水温上昇による熱膨張が要因でしたが、2024年にはこれが逆転したとされています。気候変動による海水温の上昇が、海面水位の上昇にも大きく影響していることがうかがわれます。

プラネタリーヘルスの観点から見ると、この急激な海面上昇は人間の健康や社会経済活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。このうち、健康リスクは、沿岸地域の洪水リスク増加、生態系の変化、感染症の拡大など多岐にわたるとされています。こうした状況を受けて、環境と健康を一体として捉えるプラネタリーヘルスの視点に基づく総合的かつ予防的な対策が急務となっています。