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プラネタリーヘルスに関する最新の動向をお伝えします

2024年の世界大気質レポートが公表される

2025.03.19

スイスの空気質モニタリング企業であるIQAirは、2025年3月11日、2024年の世界大気質レポート(The 2024 World Air Quality Report )を発表しました。

この報告書によれば、世界保健機関(WHO)が推奨するPM2.5(微小粒子状物質)の基準を満たした国は、オーストラリア、ニュージーランド、エストニア、アイスランドなど、わずか7か国にとどまりました。チャド、バングラデシュ、パキスタン、コンゴ民主共和国、インドなどの国々では、PM2.5の平均濃度がWHOの基準を大幅に上回り、特にチャドでは推奨値の最大18倍超に達しました。PM2.5のような粒子状物質は、健康に重大な影響を及ぼし、心臓や肺にもともと疾患がある方の早期死亡、非致死性心臓発作、不整脈、喘息の悪化、肺機能の低下、呼吸器症状の増加などのリスクを高めるとされており、プラネタリーヘルスの観点からも憂慮すべき状況にあるといえます。

他方で、ポジティブな傾向も見られます。2024年は、PM2.5基準を満たす都市の割合が前年の9%から17%に増加し、特にインドと中国では大気質の改善が顕著であると報告されています。それでもなお、WHOの推奨基準を満たしていない国がほとんどである状況に変わりはなく、各国政府にはさらなる大気質改善のための政策実施が求められているといえます。