環境省、環境デュー・ディリジェンス促進に向けた取りまとめ資料を公表
2025.05.19
2025 年4月28日、環境省は「日本企業による環境DD(デュー・ディリジェンス)対応促進に向けた懇談会」での議論の成果として、「日本企業による環境デュー・ディリジェンス対応促進に向けた懇談会 議論のまとめ」を含めた資料を公表しました。
昨今、企業が人権リスクを特定・防止する手段として人権DDを実施する動きがヨーロッパを中心に加速しており、日本においても大きなビジネス上の課題として認知されるようになっています。そのような中、本資料は、EUの企業サステナビリティ・デュー・ディリジェンス指令(CSDDD)が2027年から本格適用されるのをにらみ、環境DDにおける実務的な対応や実例を紹介しています。
資料の1つである「環境デュー・ディリジェンス対応に向けた取組のポイントについて」によれば、環境DDが求めるのは「あらゆるリスクへの一律対応」ではなく、深刻度と発生可能性で優先順位を付けるリスクベース・アプローチであるとされています。また、企業に求められる対応として、①経営方針等に組み込むための意思決定 、②環境・人権リスクへの部署横断的な対応、 ③負の影響を収束化等するための企業戦略等の見直し、の3点が示されています。
このような企業による環境DDの伸展は、プラネタリーヘルスの視点からも重要と言えます。例えば、環境が人権(特に健康)に与える具体的な影響とその深刻さを分析するのは、まさにプラネタリーヘルス領域の研究者が様々な論文を公表してきた領域です。そのため、企業としては、プラネタリーヘルスの視点をベースにした対応を行うことが、効果的な環境DDにつながるといえます。今回環境省から公表された議論が、企業活動にプラネタリーヘルスの視点を盛り込む契機となるか、今後の議論と動向が注目されます。