2024年10月30日、2024年版ランセット・カウントダウン世界報告書が発表されました。本報告書は、気候変動が健康に与える影響を評価する国際的な取り組みであり、2015年から毎年発行されています。

2024年版報告書では、5つの主要領域と56の指標にわたる気候変動と健康との関係への評価を通じ、気候変動による健康への脅威が記録的なレベルに達していることを明らかにしています。

例えば、2023年には65歳以上の熱中症による死亡者数が1990年代比で167%増加し、過去最高を記録しました。気象パターンの変化も顕著で、世界の陸地の61.3%で降水日数が増加する一方、48%の地域が極端な干ばつを経験しています。その他にも、気候変動が睡眠時間や労働可能時間などにも影響を及ぼしていることが示されています。

しかしながら、このような深刻な状況にもかかわらず、2023年の世界のエネルギー関連排出量は過去最高を記録し、近年では約1億8,200万ヘクタールの森林が失われるなど、政府や企業の対応は依然として不十分な状況が続いていることが指摘されています。

本報告書は、健康増進・疾病予防の観点から気候変動への対応が急務であることを示しており、国際機関や各国政府等の意思決定にも一定の影響を与えると思われ、ますます重要な資料として注目を集めそうです。